箸置きを初めて作ってみて、感じた課題点。
必修課題で石膏型成形をやってみた。
陶工高等技術専門校の訓練の中には「必修課題」というものがあります。これは、普段やっているロクロを使った器の成型ではなく、手びねり成形(字の通り、手で粘土をひねって形作る成型方法)やタタラ成形(粘土の板を作って型に押し付けて、お皿などの形を作る成型方法)といった様々な成型方法を学ぶ時間があります。
そして、その必修課題の中のひとつで「石膏型成形」というものがあります。これは、決められた形の「原型」を、石膏を使って形どり「型」を作って、粘土をその型に押し付けて「型抜き」することで、同じ形を量産できる、という成形方法です。
この石膏型を使って、実際に箸置きを作ってみました。ずっと前に記事で書いた箸置きのデザインの課題は、この石膏型の必修課題に繋がっていたんですね。
設計図をもとに原型を作成。
完成形はばっちり丁寧に考えたので、頭の中では完璧にイメージできています。というわけで粘土をコネコネして原型を作っていきます。与えられた時間が短いので、迅速、かつ丁寧に。。。あれ、凝った形にしすぎたかな、全然形が整わない。あ、時間がない。えーい、ままよ!
全然違う。かっこよくない。同級生からは「ワニ」と言われた。見えなくはないけどさ。
時間がなかったので、このまま先に進みます。この原型をもとに石膏で型を取ります。
横の部分に凹凸がついていますが、これは「カギ」といって、石膏型がズレないようにするのと、カギの大きさが上下違うので、型の上下方向を間違えないようにすることができます。あと、写真にはないですが、はみ出した粘土を逃がすためにサイドに溝も掘りました。
石膏型を十分に乾かした後は、この型を使って、箸置きを量産します。ついでに、少しは車っぽく見えるように、フロントガラスなどを掘っていきます。
掘った装飾を含めて、、なんかコレジャナイ感がすごいですがこのまま進みます。いったん素焼き(低い温度で焼き固めます)したあと、イメージした色となるように釉薬を塗ります。
今回は黄色にしたかったので「黄瀬戸」と呼ばれる釉薬を塗りました。焼き上がり前は赤っぽいですが、これは酸化鉄が含まれているからだそうです。酸化鉄は含有量によって色合いが変わり、少なめだと黄色になるそうです。
箸置きの完成です。
焼き上がりですが、思ったより黄色が鮮やかではありません。よくよく観察してみるとまず、輪郭の角ばった部分はどうしても釉薬が薄くなっていて、白っぽくなっています。それから、原型の表面の処理が甘くガタガタとしている部分に色ムラが出来ていますね。さらに、先生に聞いた話ですが、少し釉薬の塗り方も薄かったと思われます。下に溝を掘っていたので、それが見えるように加減したのが裏目に出ました。
結果として、全ての工程で思った通りにならなかった箸置きづくり。陶芸というか、モノづくりの難しさを感じます。
今回の石膏型成形で感じた反省点は次の通りですね。
- 原型が複雑すぎました。粘土で成形するとなるとどうしても歪み等が出てしまうので、複雑すぎると思い通りのものはなかなか作れません。時間をかければいつかは完成しますが、コスパが合わない場合も考えられます。
- 原型の細かな処理が甘かったので、思った通りの焼き上がりとなりませんでした。これは1つの経験としてとらえたいですが、表面がぼこぼこであればあるほど、釉薬にムラが現れます。作りたいモノのイメージに対して、今回の表面処理は良くなかったです。
- 箸置きのデザインが角張りすぎていたので、カドで釉薬が薄くなってしまっていました。元々のデザインが曲面を多用していれば、もっときれいに色づいていたはずです。
上手くはいきませんでしたが、今回失敗した経験は、次に活かすことが出来ると思います。
問題は、この箸置きが3月に開催される即売会で商品になるということです。ちょ、ちょっと恥ずかしい。。ですが仕方なしですね。