陶芸と地域づくり

会社を辞めて、陶芸をはじめるために、京都の職業訓練校に通う人のブログです。

基本課題が終わったので、どれぐらい技術が身についたのか振り返ってみる話。

ブログの更新がずいぶんとご無沙汰になってしまいました。端的に言うとさぼっていました。言い訳をすると、日常のあれこれを細かくブログに書こうにも、思ったより変わり映えしないなと感じて要所要所で記事を書こうと言い聞かせていました。

 

そんな重い腰を上げてブログの記事を書こうと思ったのは、1つは訓練校の基本課題(決められた規格の製品をいっぱい作る訓練)が終わり一区切りがついたこと。そしてもう1つが訓練校の2次募集が開始したことです(1月26日まで)。

このブログを今見てる人は、「訓練校に関心があり情報を集めている人」ではないかと思います。

そんな人に対して、一通りの訓練を通じて感じたことを記事としてまとめると、ちょっとは役に立つのではないかと感じたからです。

今回は、せっかく基本課題が終わったので、課題を通して「どの程度技術がついたのか」についてまとめてみたいと思います。

あくまで、個人の感想になるので、どれぐらい参考になるかわかりませんが、、少しでも記事を見ている人の役に立てば幸いです。

 

■訓練を通じてどの程度のものを作れるようになったのか。

前提として、記事を書いている人物は入校時、アラサーの陶芸未経験者です。訓練校入校まで会社員をしていました。

そんなんですから、最初はすごく苦労しました。粘土に触れるのも初めてだったので、「どう触ると、どう動くのか」などの特性のようなものが全く分かりません。

初めて、それっぽいものをロクロでつくった時の写真がこれです。

うつわを作る前段階までの工程を何度も繰り返してます。

この写真を撮ったのが5月2日です。入校から約1ヶ月少しずつ粘土に慣れてきたという感じです。今見るとぐちゃぐちゃですが、当時は「成長したなぁ」とか思っていました。

そして、ここから今年の1月頭に基本課題が終わった時の写真です。

高さ30㎝の筒状の花器です。ロクロで成形後表面を整えたのち乾燥させています。

時間はかかりましたが、大きなものをある程度作ることが出来るようになりました。もちろん技術としてはまだまだまだまだなのですが。

お世辞も入っていると思いますが、先生から「最初と比べるとずいぶん良くなった」と言っていただけて、内心舞い上がっていました。

ちなみに私は同じコースの人たちの中では、基本課題の最初から最後まで、1番遅い集団に属していました。ですので、もっと早い時期に基本課題を終えるだけの技術を得ている人もいます。

 

■では実際、どれぐらい技術が身についたのか。

訓練校での基本課題を通じて、ある程度の技術を身に着けることができたと思います。「ある程度」とつけているのは、自分が作ったものを自信をもって商品として売っていくためにはまだまだ勉強が必要だと思うからです。

実際に、自分でデザインした器を作る「応用課題」に取り組んでいますが、作ったもの一つ一つ形が少しずつ違ったりと、商品として品質が高いものを作るのは難しいなと感じています。

 

ですが、入校してから約9カ月でここまで技術を高めることが出来たのは十分かなとも思っています。

訓練校では分からないことはすぐに聞いて教えていただくことができるし、間違ったことをしていてもその間違いを指摘していただけます。そして、平日の毎日、みっちりと陶芸について学ぶことができるので、時間も十分に確保することができます。

陶芸を学ぶのであれば陶芸教室に通ったり、思い切って弟子入りしたりなど、いろんな手段があると思いますが、ここまで学べる環境が整っているのは訓練校ならではだと思います。

 

だからこそ、私としては短い期間で、かなりのスピードで成長することができたのではないかと感じています。

 

■最後に。

訓練校では、技術を身に着けるための環境が十分に整っており、通うことで多くの技術を身に着けることができるのではないかと、私は思います。

個人の感想になってしまうのであまり参考にならないかもしれませんが、訓練校に通うか迷っている人がいたら、この記事が役に立てばとてもうれしいです。

京都市では国民健康保険税の減免ができるという話。

職業訓練校に通うとなると、必然的に仕事は辞めて「求職」することになります。

そうなると、仕事による収入はゼロとなるので、貯金を切り崩すなり、雇用保険を受給するなり、訓練生用の給付金を活用するなり、何とかして生活するための資金を確保する必要があります。

 

しかし、職業訓練中に発生するのは日々の生活費のみではありません。税金を納めなきゃなりません、義務なので。

税金の厄介なところは、昨年度の収入をもとに金額が決定するものが多いので、仕事を辞めると、収入がないのに高額の税金を納めなければならなくなります。

 

これがまあ大変です。私は職業訓練校に入校する半年前に仕事を辞めて、九州の実家に帰っていたのですが、入校するまでの間に支払った住民税、国民健康保険税等々で貯金はスッカラカンになりました。

 

職業訓練校に通う間、収入が限られる中で税金を納めていると、まあしんどいんですが、京都市では、諸事情により収入が減ってしまった人が「国民健康保険税の減免」を申し込むことが出来るそうです。

(実家ではそんなことできなかったので、京都市は太っ腹ですね。。)

 

というわけで、申請しに区役所に行ってきました。

申請はいたって簡単。現在の収入を確認できるものと、まだ減免されていない段階の国民健康保険税の振込用紙を持っていくだけ。

 

なんと、15分ぐらいの手続きで国民健康保険税が最低金額まで減免されました。

これは、職業訓練校に通う身としては本当にありがたいです。何とか生活はできているものの、余裕があるわけではないですから。

京都市職業訓練をするにあたっては、大変ありがたい地域ということですね。

丸底湯呑の沼、の話。

なんだかんだで、このブログを書くのは1ヶ月以上ぶりになってしまいました。

なぜこんなに期間が空いてしまったのかというと、ちょびっと忙しかったというのもありますが、一番の理由はそう、「丸底湯呑」という課題に四苦八苦していたからです。

なかなかうまくいかず、課題が進まない日々に心がすさんで、ブログを更新する元気が出なかったのです。

ですが、やっとのこさ課題が終わって、次の課題に進めそうなので、丸底湯呑の課題を少しだけレポートしてみたいと思います。

続きを読む

箸置きを初めて作ってみて、感じた課題点。

必修課題で石膏型成形をやってみた。

陶工高等技術専門校の訓練の中には「必修課題」というものがあります。これは、普段やっているロクロを使った器の成型ではなく、手びねり成形(字の通り、手で粘土をひねって形作る成型方法)やタタラ成形(粘土の板を作って型に押し付けて、お皿などの形を作る成型方法)といった様々な成型方法を学ぶ時間があります。

そして、その必修課題の中のひとつで「石膏型成形」というものがあります。これは、決められた形の「原型」を、石膏を使って形どり「型」を作って、粘土をその型に押し付けて「型抜き」することで、同じ形を量産できる、という成形方法です。

この石膏型を使って、実際に箸置きを作ってみました。ずっと前に記事で書いた箸置きのデザインの課題は、この石膏型の必修課題に繋がっていたんですね。

tougei-chiiki.hatenablog.jp

続きを読む

久しぶりの土もみの話。

土もみの抜き打ちテストの通告。

昨日の訓練終了後。突然、先生から「朝から土もみのテストをする」と通告を受けました。最近はロクロに座ることを優先して、土もみが疎かになっている私にとっては寝耳に水です。しかも、合格しない限り、始業から1時間45分間ずっと粘土を揉み続けることになるというのです。

絶望しかないですが、やるしかありません。毎日書いている次の日の目標シートに「あきらめない」と記入して、次の日に備えるため急いで帰宅しました。

 

土もみのテスト、案の定、、

テスト当日、朝の授業前に土もみをして、テストに備えます。先に土を揉んでおくことで始業後にすぐテストを受けるという作戦です。同じことを考えている人は結構いて、教室は朝から大混雑でした。

そして、テストですが早速NG。昔ほどではありませんが、やっぱりちらほらと空気が粘土に紛れ込んでいます。この空気が、ロクロを挽く時にちぎれたり、焼いている時に器が割れる原因となります。しっかりとなくなるまで再度テストです。

結局、7~8回ぐらい粘土を揉んで、やっと合格をいただけました。。とてつもなく疲れました。。

 

久々に土もみをたくさんやってみて。

土もみのテストはとてつもなく疲れましたが、久々にしっかりと土もみに向き合ったのはとても有意義でした。特に自身の土もみのやり方がまだまだ未熟であることが良く分かりました。先生のお手本も目の前で見ることが出来たのもとても良かったです。

しばらく、土もみに向き合っていなかったため、正しいやり方がわからなくなっているなーとは感じていました。ですので、抜き打ちテストは本当に勉強になったなと思います。抜き打ちテストは、今後も何度か実施されるそうなので次のテストでは一発合格を目指したいと思います。

仕事の段取りの話。

訓練以外の作業が色々と入ってきて、今週あんまり作業が進みませんでした。

今週の訓練は、なかなか思うように進まない日でした。作業としては相変わらず「小煎茶碗」を作り続けています。合計で80個も作らなければいけません。この1週間で20個しか作ることができませんでしたのでー、なかなか終わんないです。。

ただ、持てる時間全てを使って20個しか作れなかったわけではありません。座学の講義や釉薬の講義、その他雑務等々でなかなかまとまった時間を作ることができませんでした。

その際言われたのが、仕事の段取りをつけることです。焼き物をやっていく中で様々な雑務が舞い込んでくるのは当然のこと。その中で、納期に向けてロクロを挽き、適度に乾燥させて削って、焼いて、、、と段取り良く作業を進めていく必要があるとのことです。

これって、恐らくすべての仕事において必要になる技術かと思います。私の前職でも、大量のメールや先輩社員から突然頼まれる仕事等で思うように仕事が進まず、期限ぎりぎり…。なんて良くあることでした。

そして、この段取りをつける作業、めちゃくちゃ苦手な分野でもあります。計画を考えるまでは良いのですが、ちょっとこだわってしまったり考え込んでしまうような性格なので、計画通りに進まないことがほとんどなのです。でも、対策は明確です。ここまでに絶対にここまでやっておかないといけないという「デッドライン」をきちんと引いておくことです。前職の時は忙しくてきちんと予定を立てる余裕がなかったのですが、今はある程度時間に余裕があるので、デッドラインを含め段取りをつける練習もやってみようと思います。

 

デッドラインを挽くためにやること。

「デッドライン」をつけるためには、その週、その日にいくつ器を挽くか等、目標が明確である必要がありますね。個人的には今やっている「小煎茶碗」は来週いっぱいで終わらせたいですね。。ということは、残り45個程度は挽く必要がありますので「5日間で45個、小煎茶碗を製作する」ことが必要です。

次週5日間のうち、木曜、金曜日の2日間は乾燥した器を削って形を整えたいので、月・火・水曜日の3日間で45個。つまり1日15個。訓練は1日でおおよそ5時間なので、1時間で3つはロクロで挽く必要がありそうですね。普通の人なら余裕ですが、私はロクロ挽くのが遅いのでちょいキビです。というわけで「1時間当たり3つロクロを挽く」というのがデッドラインです。

 

確実に段取りをつけるために。

デッドラインを引けたので、そこを守って仕事を進めればいいのですが、次週も色々と雑務が入ってくる可能性も無きにしもあらずです。

というわけで、細かく予定を変更できるようにスケジュールをつけれると良いですよね。個人的に気に入っているのは、スマホアプリで24時間の円グラフで予定を管理できるスケジュール帳です。「一日予定表」みたいな名前だったと思います。

これは「24時間のうち、この時間でこれをする」というのが一目でわかるので、私のような、いろんなことを後回しにしてしまいがちな適当人間でも感覚的に「あ、急がないとやばいかも」というのがわかりやすいです。それから、必須の予定を埋めていくと、自然と空き時間が浮き彫りになる点も気に入っています。

とりあえずざっくりとアプリに入力してみたので、雑務が入ってきたときは少しずつ段取りを調整していこうと思います。目指せ次週、小煎茶碗終了!

友人から聞いた陶工卒業後の怖い話。

陶工高等技術専門校(以下、陶工)は清水焼の後継者を育成することを目的とした、陶芸の職業訓練校です。そこに集まるのは陶芸を職業とすることを志す人達ですので、会話の中でも自然と陶芸の話題になります。

共通の目的がある人、似通った思いがある人と話すのってとても楽しいです。そういう人たちが40人も集まって、一緒の教室で訓練するわけですから、日々の生活が楽しくて楽しくてたまりません。訓練校通ってみて良かったー。

ですが、先日友達との会話で怖い話を聞きました。陶工の卒業生は、卒業して5年以内に陶芸以外の職に就いているというのです。これは友人が陶工の卒業生から聞いた話とのこと。ホントかウソかはわかりませんが、そう言われれば「そっかー。。そりゃそうだよなぁ。。」と思ってしまいます。

なぜなら、陶芸の世界はお世辞にも給料は高くありません。それに職場は昔ながらというか、言葉を選ばずに書くと古い考え方がまだまだ残っていると聞きます。「福利厚生」なんて夢のまた夢です。そういう側面があるので、将来を考えると安定を求めて転職、というのはあり得すぎる話です。

 

卒業生が陶芸を辞めていく話。これに対して「奴らは根性が足りねぇ。おれはどんなに辛くても続けて、いつか陶芸だけで食っていくぜ!」と、真正面から反抗するのは間違いです。今は良くても、今後30、40と歳を重ねていくにつれて、ライフステージが変化していくときっと根性では越えられない壁が出てきます。結婚しているかもしれないですし、親の介護などももしかしたらあるかもしれません。私は多くの人とつながって生きているわけで、全てを投げうって自分勝手に生きるには、多くの人にお世話になりすぎてしまいました。

とはいっても、このままぼんやりと5年後を迎えて、あっさりと陶芸をあきらめるというのもダメです。必要なのは5年後を見据えた「戦略」を練ることです。行政も良くやっている5年間の計画を立てることで、今やるべきことを明確にして、来たるべき5年後に備えることが、今の私にできることではないかと思います。

 

戦略を練るのは色々と調べたりする必要があるので、これから数週間での宿題とするとして、大まかな方針だけなら今の段階でも書けることはあります。

まず、そもそも「陶芸一本で食べていくのか」です。これは「No」と声を大にして言えます。ブログのタイトルにある通り私は陶芸と「地域づくり」に興味があるので、地域づくり・地域おこしに関する仕事も何かしらやりたいと思っています(お金になるかは別ですが。)

また、このブログを始めたのも、ブログはちゃんとやれば収益にもつながると聞いたことがあったので、その練習という感じではじめてみた側面もあります。

ですので陶芸だけでなくそれ以外の収入の柱を持つことを考えているので、それを何にするのか、そのためにどのような準備が必要なのかを、今後考えていくことが必要です。

 

そしてもう1つ、陶芸との関わり方はどうするかです。陶芸を辞めていった人たちは、趣味として陶芸を続けていく道を選んだそうです。その関わり方も十分にありだと思います。仕事で続けている人と比べると、費やす時間は短くなってしまうかもしれませんが、好きなものを作りもしかすると売ることだってできるかもしれません。

ここは、明確ではないですができる限り、陶芸を仕事にしたいと思っています。今のところですが自身が作ったものが人の生活をより豊かにできると良いと思っていますし、自分自身でビジネスをすることにもとても興味があります。

じゃあ、これからどうしていく、っていうのは今後の宿題ですね。いつも思いますが、私は陶芸に関して全て見切り発車感があってあんまり良くないですね。いつも慎重派だったので思い切って動いたことは良いことだと思うのですが、無謀はダメです。

 

陶工に通っている1年間は、訓練はもちろん忙しいですが、仕事をしていた時と比べると圧倒的に時間があります。この1年間は今後の準備を進める上でも非常に大切で、ぜひ有効活用したいところです。総理、早急に戦略を練り、早期の計画立案を!